こんにちは、かしわぎです。
僕は3年半ほど前、腕の疲れに別れを告げるためにワイヤレストラックボールマウスを導入しました。現在は非常に快適で、腕の痛みとも無縁で過ごしています。
今回は3年半使ってきたロジクール・ERGO M575(以下: M575)についてレビューします。
- 負担の少ないボール操作とエルゴノミクス形状で手の疲れを軽減
- 本体を動かす必要がないので省スペース
- 親指操作タイプでマウスからの移行が容易
- 自動可変DPIで快適ボール操作
- 異常に長持ちする単3電池駆動
- Logi optionsによるカスタマイズが超便利
- なんとか携帯できる程度に軽量コンパクト
- 1ボタンで接続先を簡単切り替え(M575)
- 左右クリックが静音ボタン(M575SP)
- 細かい操作と素早いポインタ操作の両立が難しい
- 普通の多ボタンマウスより割高
- ボールの定期的な清掃が必要
- 有線接続非対応
トラックボールの最大の特徴はポインタのコントロールをボールを転がして行うこと。通常のマウスはボディを掴んで腕と手首で直接動かして操作をしますが、トラックボールは指のみで操作が完結するので動かす必要のない腕や肩、手首への負担が激減し、疲れや痛みが起きにくくなります。
本体を動かさなくていいということは操作するスペースを確保しなくてもいいということでもあります。ごちゃつきやすいデスク上を圧迫しないので本や資料を広げやすくなります。本当にデスク上に場所がなければ椅子のアームレスト、なんなら自分の膝の上に乗せてもOKです。場所を問わずに快適な操作が可能なのはトラックボールならではのメリットと言えるでしょう。
記事にするために改めて使用感を確かめた結果、操作性・機能面共に優秀な入門用トラックボールと再認識できました。
この記事ではM575の操作感や他機種との比較、どんな方にオススメできるかを記載しています。
皆様のマウス選びの参考になればうれしいです。
僕が使っているのはこの旧モデルであるM575S。2台のPC間で頻繁に使い分けるという方はこちら。
こちらの現行モデルであるM575SPは左右ボタンが静音化しました。後述しますが2台のPC間での切り替えは多少手間がかかります。ほぼPC1台での使用もしくはドングル差し替え等の手間が気にならない方ならこちらの方がお手頃でおすすめです。
更に上級グレードのこちらなら更に傾斜角度を変更して手の負担が軽減できます。チルトホイールや6個のカスタマイズ可能なボタン、3台の接続先をボタン一つで切り替え出来る多機能トラックボールマウスです。価格もなかなかハイグレードなので始めてのトラックボールマウスなら上記2つのどちらかを使ってみるのがおすすめです。

導入に至った経緯は良いからさっさとレビューしろよ!って方は、ここからすぐにレビューを読めるよ!
腕が疲れるマウスから脱却したいならトラックボールだってさ
そもそもなぜ僕がトラックボールマウスを購入したのか……それは今から4年ほど前に遡ります。
当時はデスクワーク職で、朝から晩までPCに張り付きっぱなしという環境でした。業務に使うのはごく普通の3ボタンマウス。毎日8時間を超えるPC作業の中で僕はふと思いました。

普通のマウスって作業効率悪いなあ……。
腕も痛いしこれ取れちゃうんじゃない?(疲労による錯乱)
3ボタンマウスで出来ることは限られています。ショートカットはキーボード頼りなので、長時間作業で左手の指が攣りそうに。マウス操作で右手首もしんどくなってきましたので、僕は多ボタンマウスの購入を検討することにしました。進む/戻るのショートカットがマウス側で使えるだけでも左手が楽になりますし、他のショートカットの登録次第でポインタの移動も多少は減らせると思ったためです。
そんなわけで昼休憩にAmazonを探索していると、当時の上司が声をかけてきました。

トラックボールなら快適だし、多ボタンモデルなら効率もアップするよ。
この上司も仕事でトラックボールを常用しており、長時間のPC作業には強くおすすめできるとのことでした。
が……。

なんか操作独特で難しそう……。慣れて使いこなすまでいけるか分からないし、トラックボールって1万円超えのモデルばっかりだから気軽に購入して試しにくいなあ……。
その時上司の使っていたのは人差し指で操作する大型のトラックボール。ちょびっと触らせてもらいましたが、独特すぎる操作感に僕は購入を躊躇してしまいました。
しかしこのままでは僕の腕が腱鞘炎かなんかで破壊されてしまう。快適になるならトラックボール、試してみたい。価格を抑えて試せるものはないか……。
様々なモデルを比較検討した結果、たどり着いたのはロジクールの親指操作タイプのトラックボールマウス・M575でした。
数日かけて慣らしたあとは非常に快適!イージーなPCライフとはトラックボールを使うことで実現できると言っても過言ではありません(当ブログ調べ)。
M575SP&MX ERGO Sとの違いを比較。最初の1台ならM575系を
M575はマウスやキーボードなどのPC周辺機器メーカーとして有名なロジクール(海外ではLogitech)製のトラックボールマウスのベストセラーモデル・M570の後継機として登場しました。トラックボールマウスのデファクトスタンダードと呼べるほどの超定番モデルで、類似した他メーカー製品もよく見かけますね。
数ある中でもよく比較される製品に同じロジクール製のM575SPとMX ERGO Sがあります。MX ERGOは更にボタン数が増えたりと明確な上位機種としてラインナップされていますが、M575SPは一見しただけでは違いが分からないという方も多いのではないでしょうか。
というわけで以下の表に各モデルの違いをまとめました。
ちなみにM575シリーズのビジネスモデル、MX ERGO Sの旧モデル・MX ERGO(充電端子がMicro-B、静音クリック無し、Unifying接続)なども一応あるにはあります。前者はM575SPとほぼ差がなく販売経路の関係で手にする機会が少ないこと、後者は上記以外に目立った差異が無いので比較表からは除外しています。
MX ERGOはご自身の環境と予算によっては検討する価値もありますが、いずれにしても最初の一台としては選択しにくいと思います。
ERGO M575 | ERGO M575SP | MX ERGO S | |
---|---|---|---|
カラー | ブラック(S) オフホワイト(OW) グラファイト(GR) 全て青ボール | ブラック+青ボール(d,da) ブラック+銀ボール(BK) オフホワイト+青ボール(OW) グラファイト+青ボール(GR) | グラファイト (銀ボールのみ) |
サイズ 高×幅×奥行 | 134×100×48 mm | 134×100×48 mm | 133×100×51 mm |
重量 | 145 g | 145 g | 164 g 259 g(プレート有) |
ボール径 | 34 mm | 34 mm | 34 mm |
DPI※1 | 100~2,000 | 100~2,000 | 512~2048 |
ボタン数 | 5個(左右クリック, 戻る/進むボタン,ホイール) | 5個(左右静音クリック, 戻る/進むボタン,ホイール) | 8個(左右静音クリック, 戻る/進むボタン, プレシジョンボタン, ホイール&左右チルト) |
カスタム可能 なボタン数 | 3個(戻る/進むボタン, ミドルボタン) | 3個(戻る/進むボタン, ミドルボタン) | 6個(戻る/進むボタン,) |
傾斜角度 | 変更不可 | 変更不可 | 2段階調整 |
対応OS | windows,macOS,iPadOS, ChromeOS,Linux,Android | windows,macOS,iPadOS, ChromeOS,Linux,Android | windows,macOS,iPadOS, ChromeOS,Linux,Android |
接続方式 | Unifying USBレシーバー, Bluetooth | Logi boltレシーバー, Bluetooth | Logi boltレシーバー, Bluetooth |
電源方式 | 単3電池 | 単3電池 | 充電式(USB-C) |
バッテリー 寿命 | 最大24ヶ月 | 最大18ヶ月 | 最大120日 |
保証期間 | 2年※2 | 2年※2 | 2年※2 |
その他 | – | – | FLOW※3対応 |
商品リンク | Amazon | Amazon | Amazon |
※2…Amazon・楽天限定モデルは1年保証
※3…複数PC間でシームレスにファイルを移動したりできるLogi options+特有の機能。
Amazonや楽天などの各ECサイトで検索するとちょっとずつ違う名称で販売されています。

M575SPdとかM575OWとか色々あるけど、どう違うの?どれを購入したらいいの?
これはカラーリングの違いによって名称が異なっており、上記比較表のカラー欄に対応するアルファベットを記載しています。
M575のオフホワイト → M575OW
M575SPのグラファイト+青ボール → M575SPGR
というように名称が変わります。M575/M575SPの部分まではカラー問わず共通ですので、欲しいモデルを間違えないように購入前にはしっかり確認しましょう。
Amazon・楽天限定モデルはオンライン購入限定カラーのブラック(Amazonでは更に限定壁紙付き)になる代わりに保証期間が1年と短くなります。基本的には保証2年の他カラーを選択するのが無難ですが、セール時期などは実売価格6,000円程度と大幅に値引きされることもあるので、タイミングによっては検討してもいいでしょう。僕は1年保証のAmazon限定モデルを3年半使っていますが一度も不具合が出たことはありませんので、1年保証でも十分かもしれません。工業製品である以上初期不良や個体差もあるので絶対とは言えませんが。
上位モデルのMX ERGO Sになるとプレシジョンボタン(DPI変更ボタン)で精密操作とダイナミックなポインタ移動の両立、チルトホイールで横スクロールや動画の早送り/巻き戻しなど便利な使い方ができます。6つのボタンをカスタム可能と操作面はM575より更に快適。手首の負担が減る角度調整機能や充電式なところも嬉しいポイントですね。
上記の違いに倍ほども違う価格差の価値を感じなければM575/M575SPがオススメ。初めてトラックボールを使いたいという方はまずトラックボールに馴染めるかどうかも分かりません。どうしても合わない方もいると思います。いたずらにハイエンドモデルや癖の強いモデルを購入するより、お手頃ながら高品質なスタンダードモデルであるM575/M575SPを選択すれば間違いないでしょう。
もっと安い類似製品と比較。不便な面も多く最初の一台には非推奨

M575/M575SPがおすすめっていうのは分かったけど、もっと安い多ボタンマウスとか、安くて似たようなトラックボールも売ってるよね?そっちでも良いんじゃない?
たしかにM575はコスパ最高!というわけではありません。同じロジクール製品のM750というマウスはM575よりも安い上にロジクール特有のFLOW機能やストレスフリーなSmartWheelといった機能を搭載しています。
こちらもたしかに素晴らしいマウスではありますが、長時間使用を毎日続けていると通常のマウスとトラックボールではやはり疲労の溜まり方が違ってきます。機能に対する価格ではこういったマウスに軍配が上がりますが、腕の痛みを軽減できると思えばトラックボールはむしろコスパ最高と言えるのではないでしょうか。言えますよね?
続いて2021年設立のProtoArcというメーカーがリリースしたトラックボールマウスEM04。M575そのものといったパッケージングながらM575の半額程度という安さ。DPI変更ボタンや3台とのマルチペアリングにも対応しつつ電池交換不要な充電式。日本の技適認証もありますし、レビューを読むとそこそこの品質はあるようです。
最初の一台に良いのでは……?と思う方もいるかもしれませんが、こちらは後述するLogi Options+のようなアプリがありません。マウスの操作をカスタマイズ出来るフリーアプリで代用することもできますが、それでもカスタマイズ性では劣ります。充電式も便利なようで最大70時間と物足りない動作時間。頻繁にケーブルに繋ぐ必要があるのは少々煩わしいですね。本体のクオリティは悪くありませんがソフト周りの利便性の差が大きいので、こちらでもやはり使い勝手が良いM575の方がオススメです。

トラックボールが好きになって他を試したくなったら2台目に…はアリ!
最初の1台はM575/M575SPが間違いないよ!
M575の外観をチェック。手にフィットするエルゴノミクスデザイン
まずはM575の外観を見ていきましょう。僕の使っているモデルはAmazon限定モデルのM575Sです。

まずは上からの写真を。34mmのボールが左端に配置された標準的な親指トラックボールマウスです(M570の後継なので当然ですが)。M575は普通のマウスとほとんど同じボタン配置にボールが増えた形状の、いわゆる親指操作型トラックボールマウス。マウスからの乗り換えも比較的スムーズなのがメリットです。
ボディは平均的なマウスよりも若干大きめ。ボディは全面樹脂製ですが、滑らかな造形で安っぽさは感じません。
ボールの操作は目立った引っかかりも無くなかなか滑らか。ただし1mm単位の細かい操作時は若干のカクつきを感じます。メンテナンス時は簡単に取り外しが可能なくらいの緩さながら、操作時にはガタ付かないというボールと取付スロットの嵌め合いの塩梅も程良い感じです。ただし勢いよく弾くと小さいながらシャーッとボールが回転する音が出ます。図書館のような静かな場所ではむやみにシャーシャー鳴らすのを控えたほうがいいかもしれません。
左右クリックボタンとスクロールホイールに加えて左クリックの左端に2つのサイドボタン(デフォルト状態では進む/戻るボタン)が配置されています。後述しますが、このうち2つのサイドボタンとミドルボタンにLogi options+という専用ソフトを介して任意の操作を割り振れます。

続いて裏面。裏面にはゴム製の滑り止めが5つ取り付けられており、操作時にトラックボールマウス自体が動かないようにしっかりグリップしてくれます。手前の蓋を開けると単3電池をセットするボックスがあり、購入時から単3電池がセットされています。隣にはワイヤレス接続用のUSBドングルが収納可能。ボール裏側には取り出し用メンテナンスホールが備えられています。
中央には無線接続方式の切り替えボタンとON/OFF切り替えボタンがあります。頻繁に操作する箇所ではないので裏面にあっても不自由は感じません。

普通のマウスより少々大きいですが、それでもなんとか携帯しようと思えるサイズ感。携帯するときには保護ケースに収納しましょう。
僕は下記リンクのノートPC用インナーバッグ荷付属してきた小型のケースにしまっています。
M575専用ケースも販売されているので、しっかり保護したい方はこちらを。
M575の使用感をチェック。軽快で独特なボール操作は慣れれば快適

前モデルのM570から進化したエルゴノミクスデザインで手にしっかりフィットする形状。若干の傾斜が付けられているので、操作していて手首への負担が軽減されているのを感じます。普通のマウスのように手首が痛くなる程ではありませんが、長時間の使用を繰り返していると少し凝るように感じることがあります。贅沢を言えばMX ERGOの角度調節機能がほしいところですが価格的に妥協できるラインでしょう。

個人差はあると思いますが、手のひらでぴったりと包み込んで手首右下側をわずかに接地させるように持つと収まりが良いです。ボールは親指の腹で軽く転がすように意識するとスムーズに動かせます。ちなみに僕の手のサイズは中指の先から手首までで約18cmでした。参考までにどうぞ。
M575シリーズには自動可変DPI機能があり、ボールを転がす時に緩急を付けるとその勢いに合わせてポインタ移動速度が400~2,000の間でリアルタイムで変わるというスグレモノ。速度50%設定でも親指で弾くようにボールを転がせば半回転でも画面端から端までポインタを移動できます。
慣れてしまえばブラウジングなどでは十分快適に操作できますが、FPSゲームのように精密な操作を求められる場面には向きません。マウスの精度を最重視する用途には別途ゲーミングマウスを用意して使い分けるようにするのがベターです。
M575の左右クリックは静音ではありませんが、低めの音でそれほど耳障りな感じはしません。僕は作業時には音楽を聴いたりしているので、この程度の音なら全く気にならない程度でした。静音ボタンを採用する進む/戻るボタンですが、進むボタン(上側のサイドボタン)は自然に握ったポジションからは少し遠い場所にある印象です。意識して深く握るようにすると無理なく押せるようになりました。
M575SPになれば全て静音ボタンになるので、カフェや図書館などの小さい音でも気になってしまう環境での作業にも利用できます。
初めてのトラックボールで挫折しそうな人は無理のないポインタ速度でOK!
ボール操作に慣れるまでは無意識に手に力が入ってしまい、思うようにポインタを操作できないと思います。
リラックスして操作することを意識して触って慣らしましょう。個人差はありますがだいたい1~3日使えばある程度適応できるでしょう。

初期状態のポインタ速度は50%になっています。素早い操作のために100%近くまで速度を上げて慣れるようにするのを推奨しているトラックボールユーザーもいますが、ドラッグ選択にかなり神経を使うようになってしまうので僕個人としては50%程度のポインタ速度をおすすめします。なんなら慣れるまでは40%やそれ以下までに落としても良いでしょう。最初は自分に制御できそうな速度を探してこまめに設定を見直して下さい。
ある程度納得行く設定が見つかったら実際にブラウジングして慣らしていきましょう。ネットニュースやブログ記事の一部をドラッグして選択するのを繰り返すのがポインタ移動練習に効果的です。

最初の段階で慣れることができずにリタイアしてしまう人も少なくないみたい。
ここを乗り越えてしまえば快適な環境が手に入ると思って低いポインタ速度から
始めてみて、根気強く使ってみよう!
メンテナンス性をチェック。ボール周りのこまめな清掃は必須

トラックボール自体のデメリットして、ボールの嵌まるソケット部が汚れることが挙げられます。構造上、ボール保持部に皮脂や埃が溜まってしまい、ボール操作の滑らかさを損なってしまうのです。毎日12時間程度の使用でだいたい1ヶ月程度でボールの転がりが悪くなってくるように感じます。定期的にボールを取り外して清掃する必要があるのは少々煩わしいですね。
幸いにもM575シリーズの裏面のメンテンナンスホール穴はそこそこ大きめなので、ここから指などでつつけば簡単にボールを取り出せます。メンテナンス自体の手間が少ないのは嬉しいですね。ボールを取り外したら3箇所のボール保持部を綿棒などで、ボールをマイクロファイバークロスのような柔らかい布で清掃しましょう。この時アルコールで清掃してもいいですが、そのまま使用するとギシギシとしたボール操作感になってしまうので、ハンドクリームを塗った手でボールを転がして滑らかさを復活させましょう。
ワイヤレス接続方式のチェック。複数PC環境で使いたい方はM575がベター
M575/M575SPはUSBドングル及びBluetoothによるワイヤレス接続を選択できます。有線接続には対応していないので優先モデルが欲しい方は注意して下さい。USBドングルは各モデルで違う物が採用されています。
M575→Unifying USBレシーバー
M575SP→Logi Boltレシーバー
どちらもロジクール独自のUSBドングルによるワイヤレス接続技術で、PCから10mの範囲内で1つのUSBドングルで最大6つの対応したロジクールデバイスを接続できます。ノートPCのようなUSB端子数に余裕がない場合に便利ですね。新しい技術のLogi BoltはUnifying USBよりも更に混線に強い接続安定性と高いセキュリティ、低遅延を謳っています。どちらも互換性はないのでロジクール製品でPC環境を固める場合はそれぞれに適応した製品かをあらかじめ確認しておきましょう。

裏面中央には電源スイッチと接続方式切り替えボタンがあります。頻繁に操作する箇所ではないので裏面にあっても不自由は感じません。
接続方式切り替えボタンの操作はM575とM575SPで異なります。ステータスはボタンのすぐ上、アイコンの間にあるLEDライトで確認できます。
●点灯…Bluetooth接続
↓ 短押しで交互切り替え
○点灯…USBドングルによるワイヤレス接続
長押し
↓
○点滅…ペアリング待機状態
長押し
↓
○点滅…ペアリング待機状態
M575は切り替えボタンのワンプッシュでUSBドングル接続とBluetooth接続を交互に切り替えできます。ドングルをデスクトップPCに、BluetoothペアリングをノートPCに設定しておけば2台のPC間で簡単にM575を使い分けられます。
一方M575SPではワンプッシュでの接続切り替え機能がオミットされたため、簡単にマルチペアリング環境での利用ができなくなりました。
複数台のPCを頻繁に行き来して作業したい方には大きなデメリットですが、PC1台持ちの方やそれぞれ別のマウスやタッチパッドを使い分ける方には問題無いでしょう。
異常に長持ちする電池持ち。充電式じゃなくてもいいかも
M575/M575SPのバッテリーは単3電池1本。上位モデルであるMX ERGOシリーズの充電式が羨ましいと思う人も少なくないでしょう。しかし僕はこれをデメリットと思っていません。その理由は電池が超長持ちするところにあります。
M575で最大24ヶ月、M575SPで最大18ヶ月という驚くべきロングライフです。僕がM575をUnifying接続で1日平均8時間使用した結果、本当に2年近くバッテリーが保ちました(ちなみにPCの電源を切っている間もM575の電源はONにしたままです)。2年もしくは1年半に電池を1本用意するだけで済むので、定期的に充電する必要があるマウスと比べても特別手間がかかるとは言えません。
ちなみに僕は最初エネループを使用していましたが、あまりにも電池が長持ちするので充電池の意味が無くなると思いすぐに元のアルカリ電池に戻しました。エネループはLEDライトやランタンなど、もっと充電サイクルが頻繁になる用途に使うことにしています。
M575の汎用性をチェック。カスタマイズソフトが超優秀
M575は開封してPCに接続するだけでも十分便利。最初から進む/戻るキーも動作しますのでそこそこ快適です。しかしM575、というよりロジクール製マウスはカスタマイズを行って初めて本領を発揮できるのです。
まずは専用のカスタマイズアプリであるLogi Options+をダウンロードしましょう。
上記リンクからダウンロードしたLogi Options+のexeファイルを開いて表示される指示通りに進めてインストールすれば準備完了。

Logi Options+のホーム画面はこんな感じ。ここからデバイスのショートカットなどを設定していきます。

デバイスのアイコンをクリックすると設定画面に切り替わります。各ボタンにショートカットを割り振ったりポインタ速度を変更して自分好みにカスタマイズしてみましょう。

カスタマイズって……ボタン3つしかないじゃん!
もっと安い多ボタンマウスの方が便利でしょ?

ちょっと待って!M575ならボタンがたった3つでも
機能は3つ以上登録できるんだよ!
Logi Options+を利用することで上の画像のように様々な機能が登録できます。操作を割り振りたいボタン位置をクリックすれば編集画面に入れます。多くのユーザーはページの進む/戻るやコピー/貼り付けといった機能を割り振るとブラウジング時便利に使えるでしょう。一覧に無い機能はキーボードショートカットを登録することで利用できます(例: Win+H→音声入力をサイドボタンに登録など)。
このように基本は1ボタンに1機能ですが、それだと最大でも3つの機能しか登録できません。ここで便利なのがジェスチャー機能です。

これはショートカットボタンを押しながらボールを指定の方向に動かすことで登録された機能を起動させるというもの。仮想デスクトップ用や4方向へのパン(スクロール)用といったプリセットの他に1つずつショートカットを登録できるカスタムもできます。そのまま押すだけの操作と上下左右それぞれに1つずつ登録できるので、1ボタンにつき5つのショートカット操作が行えます。つまりボタン3つ×5操作=15個ものショートカットが使用できるのです。
以下の表は僕が現在使っているM575のショートカット設定です。一例として参考にしていただければ幸いです。
M575のショートカット一例(グローバル設定) | |||
---|---|---|---|
サイドボタン1(上側) | サイドボタン2(下側) | ミドルボタン | |
押下 | タスクビュー | コピー | ミドルクリック |
押下+← | 仮想デスクトップ左 | 戻る | 矢印 ← |
押下+→ | 仮想デスクトップ右 | 進む | 矢印 → |
押下+↑ | スタートメニュー | 切り取り | スクリーンショット |
押下+↓ | デスクトップ表示/非表示 | 貼り付け | Gドライブを開く |
設定は基本的に快適なブラウジングが出来るように意識しました。ちなみにミドルボタンに設定している左右矢印キーはYOUTUBE動画などの送り戻しに使っています。

さらにショートカットはアプリ毎に設定できるのが非常に便利。例えばグローバル設定は上記の設定にしておき、動画編集ソフトのDaVinci Resolveを使用する時はミドルボタンのジェスチャーをパンに変更する……といったように最適な操作に柔軟に対応できます。
その他の便利機能としてはSmart Actionsが挙げられます。こちらはテンプレートや作成したオリジナルのマクロをショートカットボタンや特定のキー操作に当てることが出来るというもの。

上画像の例ではブログの執筆に必要な環境を1つの動作で用意するという内容です(実際には他にも必要なページやアプリがありますが、一例ということで……)。
ショートカットでEdgeブラウザを起動して当ブログの管理者ページと記事のプロットなどをまとめているNotionを開くという操作を指示してみました。
実はマクロの起動トリガーとなる操作はM575のボタンだけでなく、キーボードの特定操作も設定可能です。キーボードはロジクールのLogi Options+に対応していないものでも動作したので、M575のショートカットに空きがない方はキーボードに割り振ってみてもいいでしょう。

AIプロンプトビルダーはポップアップからあらかじめ設定した言い換えや要約といったプロンプトを選択・指定した文章と合わせてChatGPTに指示が出せる機能です。僕も商品の検索や文章の意訳などでChatGPTに頼ることがあるのでうまく使いこなせたら作業性の向上に役立ちそうです。

ここまでに解説したショートカットの割り振りなどは自分のアカウントにバックアップされるので、違うPCでM575を使う時に同じアカウントでログインすれば設定を引き継げます。操作はデバイスの設定→バックアップを復元→バックアップから設定を復元と進んで表示された中から任意のアカウントを選択するだけ。
アカウントはロジクールアカウントの他にGoogleアカウントなどが利用できます。
まとめ: 腕に優しいトラックボールお試しの決定版
ここまでM575の特徴を書いてきました。上記のメリット・デメリットを踏まえた上でおすすめできる人・できない人の特徴を記載します。
- 長時間PC作業をする人
- マウスを操作する腕が疲れやすい人
- デスク上は資料を広げて使いたい人
- ロジクール製品をよく使う人
- 精密操作が最優先な人
- マウスの操作感から離れられない人
やはりある程度細かい作業ができるとはいえ、FPSゲームのような精密操作を必要とする使い方には適しません(普通にプレイできるよという猛者は除外します)。どうしても長年使い慣れたマウスがいいと言う方もいるでしょう。
通常のマウスとは異なるデバイスのため導入のハードルは高く感じますし、慣れるまでの数日間は苦労します。しかし一度使うと超快適なトラックボールが手放せくなるかもしれません。低負担・省スペースの便利さを一度体験するのにM575はうってつけなのです。
トラックボールには更に癖のある個性的なモデルが多数存在します。まずはこのM575を使ってトラックボール沼にハマってみてはいかがでしょうか。
静音クリックの現行型はこちら。
PC2台とマルチペアリング可能な旧型はこちら。
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