こんにちは、かしわぎです。
先日ホンダから新基準原付の発売が発表されました。以前僕が勝手に予想した内容との相違を確認するチャンスが来たわけです。今回はホンダから発売される新基準原付4車種と元になった車両の比較、併せて以前の原付一種ユーザーが気になっている点なども解説していきます。
今回はホンダから発売される新基準原付4車種と元になった車両の比較、併せて以前の原付一種ユーザーが気になっている点なども解説していきます。
- 新基準原付の良いところ、悪いところは?
- どんな車種があるの?どれがオススメ?
- 今乗ってる50ccから乗り換えても普通に運転できる?
- 結局新基準原付って買ってもいいの?
- 新基準原付以外に選択肢は無いの?
こんな疑問を持った方にオススメの記事です。最後までお読みいただければ嬉しいです。

そもそも新基準原付って今までの50ccとどう違うの?
普通二輪免許が無いと運転できないんだっけ?

新基準原付とは何なのか、交通ルールはどうなのかは、
以前に解説した記事があるから読んでみてね!
ホンダの新基準原付がついに発売。かしわぎ予想と比較
新基準原付とは、2025年10月をもって生産終了となる50ccエンジンを搭載した原付一種に代わる新しい原動機付自転車のこと。現行の原付二種をベースに一人乗り用に変更を加え、原付一種と同程度の最高速度になるように出力を制限したもので、新しい環境規制にも対応されます。
今まで各社音沙汰がありませんでしたが、ついに2025年11月20日にホンダから新基準原付の発売が決定しました。他社に先んじて、スーパーカブライトという新基準原付のコンセプトを発表していたホンダが一番乗りというのは大方の予想通りでしょうか。
僕も新基準原付には注目しており、以前の記事で好き勝手に予想していましたが、ようやく答え合わせができる機会がやってきました。
公表された性能をチェックした結果、僕個人としての感想ですが、原付が欲しい人は50ccの新車在庫かディオ110Liteがオススメ、カブが欲しい人はできれば普通二輪免許を取得して原付二種版を買うのをオススメします。
ここからは実際にリリースされる新基準原付を僕の予想との比較を交えながら紹介していきます。
ラインナップは全4車種。予想は一部ハズレ
今回ホンダから発表された新基準原付は全部で4車種。
- スーパーカブ110 Lite
- スーパーカブ110PRO Lite
- クロスカブ110 Lite
- DIO110 Lite
僕の予想していたリード125は不在。代わりに(?)クロスカブ110Liteがラインナップに加えられています。ラインナップ的にもっと実用的なスクーターが多くなると思ってましたが、クロスカブ110Liteを投入して趣味性の高い方向に振ってきましたね。
各新基準原付と原付二種を比較
ここでは今回登場する新基準原付各車を、以前のかしわぎ予想と実際の車両がどのように違うのかを表に起こしてみました。主に走行性能や取り回し易さなどに関係する部分のスペックを表記しています。比較用にそれぞれの元になった原付二種版と、生産終了が決定した50cc原付からスーパーカブ50FE(ファイナルエディション)と、スタンダードな50ccスクーターとしてタクト・ベーシックを併記したので参考までに。
| スーパーカブ110 Lite シリーズ | 【参考】 スーパーカブ110 シリーズ | 【参考】 スーパーカブ50FE | ディオ110 Lite | 【参考】 ディオ110・ベーシック | 【参考】 タクト・ベーシック | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 型式 | JA76,JA77,JA79※3 | JA59,JA61,JA60※3 | AA09 | JK46 | JK03 | AF79 |
| エンジン型式 | JA76E | JA59E | AA04E | JK46E | JK03E | AF74E |
| 総排気量 | 109 cm3 | → | 49 cm3 | 109 cm3 | → | 49 cm3 |
| 車両寸法(全長×全幅×全高) | 1,860×705×1,040 mm※3 1,860×730×1,065 mm 1,935×795×1,110 mm | → | 1,860×695×1,040 mm | 1,870×685×1,100 mm | → | 1,675×670×1,035 mm |
| シート高 | 738,740,784 mm※3 | → | 735 mm | 745 mm | 760 mm | 705 mm |
| 最小回転半径※1 | 1.9,1.9,2.0 m※3 | → | 1.9 m | 1.8 m | → | → |
| 車両重量 | 101, 107, 111 kg※3 | → | 96 kg | 95 kg | 96 kg | 78 kg |
| 馬力 | 3.5kW[4.8PS]/6,000rpm | 5.9kW[8.0PS]/7,500rpm | 2.7kW[3.7PS]/7,500rpm | 3.7kW[5.0PS]/5,250rpm | 6.4kW[8.7PS]/7,500rpm | 3.3kW[4.5PS]/8,000rpm |
| トルク | 6.9N・m[0.70kgf・m]/3,750rpm | 8.8N・m[0.90kgf・m]/5,500rpm | 3.8N・m[0.39kgf・m]/5,500rpm | 7.6N・m[0.77kgf・m]/4,000rpm | 9.0N・m[0.92kgf・m]/5,750rpm | 4.1N・m[0.42kgf・m]/6,000rpm |
| 燃料消費率【WMTCモード値】※2 | 67.5, 65.5, 67.5 km/L※3 | 67.9, 67.4, 67.9 km/L※3 | 69.4 km/L | 56.6 km/L | 55.6 km/L | 58.4 km/L |
| 変速機形式 | 常時噛合式4段リターン | → | 常時噛合式4段リターン | 無段変速式(Vマチック) | → | → |
| 燃料タンク容量 | 4.1 L | → | 4.3 L | 4.9 L | → | 4.5 L |
| タイヤサイズ | 前後17インチ チューブレスタイヤ※4 | → | 前後17インチ チューブタイヤ※5 | 前後14インチ チューブレスタイヤ | → | 前後10インチ チューブレスタイヤ |
| 制動装置 (前/後) | 油圧式ディスク(ABS)/ 機械式ドラム | → | 機械式ドラム/ 機械式ドラム | 油圧式ディスク/ 機械式ドラム (前後連動) | → | 機械式ドラム/ 機械式ドラム |
| カラー | 白茶,緑※3 青 青.白茶,緑 | 青,白茶,白,緑※3 青 緑,白茶,青,黒赤 | 青 | 赤,白,黒 | 青,白,黒 | 青,灰,白,黒,赤 |
| 希望小売価格(税込) | 341,000円※3 385,000円 401,500円 | 352,000円※3 396,000円 412,500円 | 297,000円 | 239,800円 | 250,800円 | 179,300円 |
※2… 道路上での走行状態を想定した世界統一基準の燃費計測値。実際の燃費により近い数値が期待できる
※3… 左からカブ110,カブ110PRO,クロスカブ110(同Lite系)
※4… 110PROは前後14インチチューブレスタイヤ
※5… 50PRO,クロスカブ50は前後14インチチューブタイヤ
原付二種から新基準原付化による寸法値や重量の変化は当然ですがほぼ無し(DIOのみローシート化により-1kg)。カブ50から110Liteへの乗り換えで5kgのアップならそれほど違和感無く運転できるでしょう。一方タクトからディオ110Liteへの乗り換えは+17kgの重量アップ。慣れるまで多少時間がかかるかもしれません。車体も大きくなるので、自宅の置き場や駅の駐輪場に問題なく停められるかも予め確認しておきたいですね。
大きく変化したのはやはり出力面。新基準原付の基準に合わせるために出力を4kw以下に抑えていますが、それでも従来の50cc原付を上回っています。そして特筆するべきはトルクの数値。50cc原付の2倍近いトルクを、大きく下回る回転数で発生します。トルクの数値が大きければそれだけ力強い加速力を持ち、坂道もグイグイ登れます。信号や一時停止、渋滞によって必然的にストップ&ゴーが多くなる街中は50cc原付よりもストレスなくスムーズな走行が可能。僕の住む神奈川県横浜市のような坂の多い街でも恩恵に預かれるでしょう。エンジンを高回転まで回さずとも十分なスピードが出せるので振動が減り、ライダーの疲労軽減にも効果がありそうですね。
加えて燃費の数値もそれほど悪化していないのは高ポイント。ベース車だけでなく、比較用50ccとの比較でも2km/Lも差がありませんでした。110ccのエンジンをベースにしたため、回転数と燃料消費を抑えた走行が可能になったのが大きな理由でしょう。
価格設定はそれぞれのベース車両から11,000円引き。正直言えばコストカットができるところはタンデムステップ程度しか無いのですが、原付一種からの乗り換え需要に応えるために業界最大手のホンダが頑張ってくれたのはありがたいですね。
スーパーカブシリーズ(110,PRO,クロスカブ)



まずはスーパーカブ110Liteシリーズ。2025年の東京モーターサイクルショーでコンセプトモデルが展示されていたので、登場はほぼ確実だと予想していた方も多いのではないでしょうか。
ラインナップはスタンダードなスーパーカブ110Lite、新聞配達向けの積載力強化モデル・スーパーカブ110PRO Lite、オフロード車風のアレンジがされたレジャー&ストリートモデルであるクロスカブ110Liteの三種類。原付二種版からの主な変更点や特徴は以下の通りです。
- 馬力を3.5kW[4.8PS]/6,000rpmに制限
- メーターの60km/hスケール化&30km/hで点灯する速度警告灯装備
- 1人乗り化に伴いタンデムステップ除去(PROは元々一人乗りのみ)
- 110と共通の17インチキャストホイール&チューブレスタイヤ
- ギアは普通に4速
- フロントABS付きディスクブレーキ
- 価格は341,000円~
最大の変更点は出力面の変更。新基準原付の4kw以下という出力基準に適合させるために馬力を3.5kwに制限してあります。しかし110ccの排気量から来る最大トルクは6.9N・m[0.70kgf・m]と、50ccのカブの2倍弱というパワフルさ。それをわずか3,750rpmという低い回転数で発揮します。トルクを活かした力強い加速で、短い距離でもスピードを乗せることが出来るため、信号待ちから交通の流れに乗ったり傾斜のきつい登坂でもストレス無く走行できるでしょう。
ちなみに前回の予想記事で「3速になるのでは」と言っていましたが普通に4速でした。大外れです。
メーターまわりやタンデムステップの有無以外はベースとなった110とほぼ同一。スーパーカブ110 Liteの足回りは50ccと同様のスポークホイール&ドラムブレーキでコストダウンしてくるかも、と思っていましたがこちらも110と共通のキャストホイール&チューブレスタイヤにABS付きディスクブレーキを装備してきました。ここは50ccからの明確な進化点です。クラシカルなスポークホイールにこだわらないのであれば、安定した制動力を発揮するディスクブレーキは歓迎ですね。チューブレスタイヤ化したことで、釘などを踏んでしまってもすぐに空気が抜けなくなったことやパンク修理が簡便になったという大きなメリットも見逃せません。
スーパーカブ110PRO Liteやクロスカブ110 Liteも110 Liteと同様にディスクブレーキ&チューブレスタイヤ化。PROは街中での取り回しと重荷積載時の安定感を重視してか14インチタイヤを引き続き採用した一方、クロスカブ110 Liteは50cc版の14インチタイヤをやめて17インチ化しました。ブロックタイヤを装備してキャンプ場や林道などの走破性を高めた結果でしょうか。併せてハンドル幅や車高・シート高も増加しています。
110 Liteの燃費はカブ50の69.4km/Lから67.5km/Lと多少悪化しましたが、カブシリーズの異常ともいえる低燃費性能は健在。
タンク容量は4.3Lから4.1Lへ僅かに減少し、航続距離はカブ50が277.34km、110Liteが276.75kmと約22kmの減少となっています。街乗りならそれほど困ることは無いでしょうが、ロングツーリングに使う方(がいるのか分かりませんが)は留意した方がいいかもしれません。
新基準原付は50ccモデルから寸法・重量共にそれほど大きく増加はしていません(クロスカブ110Liteを除く)。重量もカブ50からカブ110 Liteへの変更で5kgの増加なのでそれほど違和感無く乗れるようになるでしょう。小回りの利きも遜色ありません。
装備面では概ね予想通りだった一方、予想から大きく外れたのが価格。ベースとなったスーパーカブ110がまさかの約5万円の値上げにより352,000円に。110 Liteも341,000円という高価格設定となりました。値上げ前の価格前提にスポークホイール&ドラムブレーキで約26万、キャストホイール&ディスクブレーキでも29万程度と想定していたのでこれは予想外でした。物価高騰の煽りを受けたとはいえ110シリーズの高コスパぶりが薄れてしまったのは残念です。
総括して、スーパーカブ110から110 Liteへの移行は全体的に欠点のないアップデートといえます。50ccモデルの細いトルクでゆったり走るのも楽しいですが、ストレス無くキビキビ走るなら110 Liteが最適です。
……とは言いましたが、正直言えばやはりスーパーカブが34万円は高すぎます。特にクロスカブ110Liteは401,500円というプレミアムな価格設定。

こうなるとホンダの125ccMTバイク ・グロム(税込390,500円)より高額に。趣味性の高いカブシリーズですが、価格面で更に趣味性の高い車両(しかも原付二種クラス)と比較されるようになってくるでしょう。
予算に余裕があるなら、あと1万1000円足して原付二種版のスーパーカブ110を買い、併せて普通二輪小型AT限定免許を取得するのをオススメしたいところ。スーパーカブシリーズはマニュアル車ながらクラッチレバーが無いのでオートマ免許で運転でき、免許も8万円程度から取得可能。二輪免許を取得する予算や時間が無いから原付一種がいいという人なら、トラブルの少ない新車や安心感のある走りを重視するならカブLite、予算を絞りたければ中古のカブを検討しましょう(部品が沢山手に入るので故障にも強いです。壊れにくいわけではありません)。あくまで僕個人の意見ですので参考までにどうぞ。
ディオ110/Lite

原付二種で最も安価なディオ110・ベーシックもリファインされ、新基準原付として登場します。お手頃で比較的軽量なスクーターをリリースしてくるだろうとは思っていたのでここは予想通りでした。
- 馬力を3.7kW[5.0PS]/5,250rpmに制限
- メーターの60km/hスケール化&30km/hで点灯する速度警告灯装備(ECOインジケーター廃止)
- 1人乗り化に伴いタンデムステップ除去
- 専用ローシート装備
- シート変更によりメットイン容量減少
- ディオ110ベーシックをベースとしたためスマートキー無し
- 価格は250,800円~
馬力・トルク、車両の軽量さはスーパーカブ110 Liteを上回り、変速不要のCVT(Vマチック)変速により機敏に走行できます。アイドリングストップを備えたエンジンは、カブほどではありませんがベースのディオ110を1km/L上回る56.6 km/Lと優秀な低燃費を達成しています。価格もかなり頑張っており、同じ新基準原付のスーパーカブ110 Liteより9万円も安い250,800円。
積載・収納力も優秀で、フラットフロアとリアキャリア、メットイン収納が利用できるので通勤や買い物等の街乗り用途であればディオ110 Liteの方が多くの方にオススメできます。
ディオ110とディオ110 Liteの主な違いは、新基準原付化によるメーターやタンデムステップの変更。足回りは前後14インチタイヤにフロントディスクブレーキ(前後連動ブレーキも同じ)と変化無しで、車体寸法なども基本的には共通ですが、唯一座面に変更があります。ディオ110 Liteは専用のローシートにより、ベースのディオ110よりシート高を-15mmとしています。50ccユーザーの乗り換えハードルを少しでも下げようというホンダの努力を感じますね。タクトよりも車体は大型化していますが最小回転半径は同じ1.8m。取り回し易さも優秀です。燃費が少々悪いですがタンク容量が0.4L大きいので、航続距離はタクトが262.8km、ディオ110Liteが276.75kmと約14km増加しています。
一方でシートが下がった分、直下のメットイン容量はベース車の18Lから-1Lの17L。この僅かな差で収まらなくなるヘルメットがあるかもしれないので、購入を検討中の方は自分のヘルメットをバイク屋に持って行き、実際に収納できるか確認しておくのが無難でしょう。
新基準原付のメリットとデメリットは概ね予想通り

色々新基準原付のいいところとか聞いてきたけど、
結局今乗ってる50cc原付から乗り換えたら
何かいいとこ良いの?

良いところはたくさんあるけど、乗り換えのハードルになる
デメリットも知っておいたほうが良いよね。
以前の記事で僕が書いたメリットとデメリットを書いておくよ。
- 装備が豪華(予想通り)
- パワフル(予想以上)
- 燃費が良い(予想通り)
- 高価(予想以上)
- 大きい(予想通り)
- 重い(予想通り)
上にも書きましたが、新基準原付の強みはその原付二種譲りの装備と豊富なトルクにあります。制動力の安定した油圧式ディスクブレーキを装備し、ディオ110 Liteは前後連動ブレーキ、カブ110 LiteシリーズにいたってはフロントブレーキにABSを装備しています。雨の日や咄嗟の急制動などでも安定した減速がしやすいのは安全性に直結する大きなメリットといえるでしょう。更にカブ110 Liteはチューブレスタイヤに変更され、パンク耐性がアップしたのも嬉しいポイントです。10インチホイールを装備するタクトのようなスクーターから、14インチホイールのディオ110 Liteに乗り換えると、高い直進性と衝撃緩衝能力でより安定した走行ができるのも街乗りバイクとして大きなメリットです。
エンジンパワーは僕の予想を大きく超えてきました。新基準原付は以前の2st50ccスクーター並のパワフルな加速力を持ち、現行の50cc原付よりも快適な走行が可能です。50ccほどではありませんが燃費もかなり良好。維持費の面も大きく高騰することはないでしょう。
一方で価格面が最大のネックになると思います。カブ110 Lite系は、正直ここまで高価な車両になるとは思いませんでした。購入を躊躇するユーザーの多くは「原付にこんな金額出せない……」と思うのではないでしょうか。
また、50cc原付と比較した時に大きく重くなるのもデメリット。特に問題となるのが50ccスクーターからの乗り換えです。カブシリーズからカブ110 Liteシリーズへの乗り換えは寸法・車重的にもそれほど違いがありませんが、長らくコンパクトな50ccスクーターを生活の足にしてきた方には大きなハードルになるかもしれません。
上記の比較表に、スタンダードな50ccスクーターとしてタクト・ベーシックを併記していますが、ディオ110 Liteと比べた際にシート高+45mmと車重17kgが大きいです。女性や小柄な方にとって軽視できない差ではないでしょうか。
新基準原付が駄目な人・避けたい人への代替案
前項のデメリットの通り、様々な問題で新基準原付の購入をできないという方も少なくないと思います。
- 価格が高すぎる
- 車格と重さを扱える自信がない
- もっと気軽な移動手段がいい
主にこんな理由でしょうか。以前は17,8万円程度で購入できた原付に最低25万円出さなくては買えないという価格面でのハードルはもちろん、50ccのコンパクトなスクーターに馴れた人にはサイズや重量も心配でしょう。あるいは「高いし重いし、近場の移動だけでこんなバイクは大袈裟じゃない?」と諦める方もいるかもしれません。
とはいえ便利な移動手段は必要だし、手持ちの原付も古いから買い替えたい……というユーザーのために、いくつか代替手段を挙げてみます。
新車の店頭在庫

引用: HONDA TACT
一番無難な方法であろう、50cc原付の店頭在庫を購入する方法。生産終了が決定した50cc原付は即店舗から消えるわけではありません。最終生産分が流通している間は新車が購入できます。新車なのでメーカー保証も2年付き、補修部品などのアフターサービスの心配もありません。10インチタイヤの軽量コンパクトなスクーターも選べます。
問題は欲しい車両が手に入るかどうか。生産終了したバイクなので当然ですが数に限りがあり、入手は早いもの勝ち。素早い決断が大切です。
中古の原付一種

引用: HONDA エイプ50/100 フォトライブラリー
続いては中古原付を探す方法。最大のメリットは選択肢の豊富さです。10インチのコンパクトな車両はもちろん、2stのパワフルな車両やマニュアル変速の本格的なバイクも選ぶことが出来ます。
デメリットは車両状態にバラつきがあること。前のユーザーの乗り方やメンテナンス、その他様々な要因でコンディションが大きく変化していきます。「買ってすぐにエンジンがかからなくなった」とか「寒い日はエンジンが全然かからない」といったトラブルに遭う可能性も。保証も店舗独自のもので、長くても3ヶ月程度しか付きません。
更に欲しい車両が必ず見つけられるかどうかも分かりません。中古車は一点物なのでタイミングや運もあります。中古車サイトを小まめにチェックしたり、信頼のおけるバイクや探しを地道にしていく必要があるでしょう。
オススメはヤマハ・JOG(SA36J型)など、高年式の信頼性が高い車両を選ぶこと。もちろん「比較的トラブルが少ない」というだけで、突然故障してしまう可能性もゼロではありません(それは新車にもいえることですが……)。
近所のバイク屋を見て回るのも大切ですが、全国のバイク屋にある車両が掲示されているバイク情報サイトもこまめにチェックしましょう。
≫ 新車・中古バイク・二輪車・オートバイ情報ならグーバイク(GooBike)
電動アシスト自転車やクロスバイク

「バイク移動は駅の駐輪場まで」とか「近所のスーパーへの買い物くらいにしか使わない」という方には自転車がオススメ。坂道が多い街なら電動アシスト自転車が快適です。大切なのは日本国内メーカー製品を購入すること。格安の海外製品もECサイトで購入できますし、最近の製品は品質も向上しています。しかし保証や修理時に受け付けてくれる店はそれほど多くありません。補修部品の取り寄せに何週間もかかることもあります。リスクを避けるためにも日本メーカー車を選択しましょう。
パナソニックのVIVI・SXであれば12万円程度で購入できます。1度の充電で最大53km走行可能なので、街乗りには十分です。
行動範囲に平地が多いなら普通のシティサイクルといったアシスト無し自転車もOK。普段の荷物がリュックに収まる程度であればクロスバイクなどの自転車もオススメです。僕も以前、片道8km程度の通勤にロードバイクを使っていました。自転車自体が軽量でグングン進むので、多少の坂は許容範囲でした。
オススメは台湾のGIANTというメーカーから販売されているベストセラークロスバイク・エスケープR3。日本のシマノ製部品を採用し、7万円程度で買えるスポーツサイクルとしてはかなりのクオリティです。世界最大の自転車メーカーであるGIANTだからできることですね。
≫ GIANT ESCAPE R3公式ページ
可能であればジャイアント取扱い店舗で新車を購入するのが望ましいですが、中古車であれば楽天などのECサイトでも購入できます。近場でメンテナンスをしてくれる自転車屋を見つけられれば検討の価値有りです。
電動バイク ※課題有り

引用: YAMAHA E-VINO
他には電動バイクという選択肢もありますが、個人的にはあまりオススメできません。理由は選択肢の少なさと価格、航続距離です。
現在日本の4メーカーから購入できる原付一種の電動バイクはヤマハ・E-VINOとホンダ・EM1 e:の2車種のみ。どちらも新車で32万円程度で購入できます。1回の充電で走行できる距離はE-VINOで32km、EM1 e:で53km。純粋な走行性能と価格、それに頻繁に充電する必要を考えると「じゃあ新基準原付の方が使い勝手良いんじゃない?」と思ってしまいます。
しかし電動バイクの独特の走りは明確なメリット。モーターによる力強い加速は交通の流れに乗るのも楽々。短い航続距離も近場の買い物程度にしか使わないのであれば十分ですし、一日使い終わったら夜中寝ている間に充電すればOK。昨今高騰しているガソリン代がかからないのも嬉しいポイントです。最大31,000円の補助金が下りることも電動バイク特有のメリットでしょう。
多くの人には普通のガソリンエンジンの原付が良いと思いますが、上記のデメリットがそれほど気にならなければ候補に入れてみてもいいかもしれません。
他社は新基準原付と代替をそれぞれ検討中(かも)
何度も書きましたが、今回発売されるのはホンダからの4車種のみ。
他メーカーのファンは「ヤマハはどうなってるの?」とか「スズキは新基準原付出すの?」と気になっている方もいるでしょう。カワサキからは出ません(断言)。
もちろんヤマハもスズキも何かしら手を打ってくるとは思います。現状としては以下の通り。
- ヤマハは2026年にリリースを目指す(車種不明)
- スズキは販売予定無し(e-Choinoriなどの電動原付一種で対応?)
≫バイクのニュース – ヤマハが新基準原付の生産を発表 どのようなモデルになる? 具体的な発売はいつ頃? 販売店の反応は
確定では内容ですが、ヤマハは2026年内に新基準原付発売を目標としているようです。ヤマハにはJOG125やアクシスZという10インチタイヤを採用する比較的軽量コンパクトな原付二種スクーターがラインナップされており、新基準原付のベースとしてはうってつけではないでしょうか。僕が以前書いた新基準原付予想記事にも2台について書いています。特にアクシスZが新基準原付化すれば、唯一無二の大容量メットインが大きな武器になると思うので是非リリースしてほしいですね。

引用: SUZUKI 企業ニュース – JAPAN MOBILITY SHOW 2023の出品概要
一方のスズキからは、新基準原付についての情報は何も発表されていません。上記予想記事に書いたようにアドレス125Lite(仮名)なんかが発表されたら嬉しいのですが、販売台数が多く見込めない新基準原付にリソースを割くのが厳しいのかもしれません。ビジネスである以上仕方ないところではあります。
しかしスズキは原付一種として電動バイクを用意してくるのでは?と思っています。以前のモーターサイクルショーでe-choinoriという電動バイクが展示されていました。コンデジより安価な原付スクーターということで有名だったチョイノリを電動バイクとしてリファインしたものです。電動自転車のバッテリーとアシストユニットを採用しているようで、車両自体はシンプル&コンパクト。チョイノリの名を継ぐバイクなので20万円程度の価格設定にして発売してくれたら……と個人的に期待しています。ガソリンタンクがあった場所もハーフヘルメットが収納できる程度の小物入れになっているのも電動バイクならではでおもしろいですね。
まとめ: 新車が欲しい人以外は様子見でいいかも
結果として僕の予想は、性能面では概ね正しかったですが、価格面(特にカブ系)が大幅に予想を上回ってきました。個人的には、以前の50cc原付一種を上回る性能にはなったけど34万円払ってまで買うかというと微妙……という印象です。もちろん前提として、原付一種のエンジン車をなんとか維持してくれるホンダには感謝しかありません。
約24万円に抑えたディオ110Liteは頑張っているとは思っています(約23万円のホンダ・ダンクという50ccスクーターもあったので、人によっては価格がハードルにはならないでしょう)。「とりあえずちゃんとした移動手段が欲しい」という人はトラブルの少ない新車を。ディオ110Liteか50cc原付の新車在庫がベターです。待てる人は程度の良い中古車を根気良く探した方がいいと思います。
カブが欲しい人は中古の50ccか、余裕があれば普通二輪免許を取得してカブ110を買うのがオススメ。カブ110Liteは原付or自動車免許のみのユーザーで走りの安定感が欲しい方、新車にこだわりたい方にオススメです。
今後は他社からも新たな新基準原付がリリースされるかもしれません。急ぎでなければ新基準原付は様子見してもいいでしょう。



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