バイクと車

鈴菌感染者垂涎!スズキ歴史館へ行ってきました!GPマシンや幻のあのバイクも拝めます!

スズキ歴史館の表札 バイクと車

まいど、スズキ車大好きかしわぎです。

みなさんはスズキのバイクや自動車、お好きですか。好きですよね?

個性的なデザインや先進的な機構、異常なコストパフォーマンス、妥協のない(ときには異常なほどの)軽量化だったりといった魅力があります。

一方で「なんでこんな機能付けたの…」といった奇抜なギミックを盛り込んだり、個性的を通り越した謎デザインを採用したりと奇行が目立つ独自性を発揮しているのも事実。

そんな強烈なスズキ車に惹き付けられる人をバイク界隈では鈴菌感染者と呼んだりしますね。

今回はそんなバイク好きの皆様にイチオシの観光スポット、スズキ歴史館を紹介します。

かしわぎ
かしわぎ

スズキ歴史館の予約はこちらから!
リンク先画面下部のカレンダーから見学を希望する日程を選択しよう!

スズキ歴史館はスズキの歴史を追体験できるミュージアム

スズキ歴史館――それはスズキ好きの聖域のひとつ。

ここにはスズキのあらゆる名車が展示されており、スズキ好きは一生に一度はここへ足を運ぶといいます(多分)。

かくいう僕もスズキ車を多数所有してきたのでいずれ行きたいと思っていました。

そして2024年4月、ついに行く機会に恵まれました。



いやまあ、ただ暇だっただけですが。


スズキ歴史館
  • 開館時間: 9:00~16:30
  • 休館日: 月曜日、年末年始、夏季休暇等
  • 入館料: 無料
  • 見学時間: 平均1時間30分
  • 所在地: 静岡県浜松市中央区増楽町1301
  • 駐車場: 有(50台) ※満車の場合は近隣の有料駐車場へ。バス用駐車場無し。
  • 予約ページ: https://suzuki-rekishikan.jp/products/reserve


場所は静岡県浜松市。スズキ本社から見て道路を挟んで真向かいに位置しています。僕の住む神奈川県から車であれば3~4時間程度で行ける距離です。

入場料はなんと無料!ありがてえ…。

入場にあたって事前予約が必要なので上記リンクから日程と人数を入力して予約をとっておきましょう。

静岡といえばスズキの他にホンダとヤマハ創業の地でもあり、天竜には本田宗一郎ものづくり伝承館が、磐田まで行けばヤマハ・コミュニケーションプラザがあります。

せっかくなので時間に余裕があればこちらも足を運んでみてはいかがでしょう。

浜松はかの有名なハンバーグレストランさわやかや、多くのうなぎの名店があるので、こちらで食事をとるのもオススメです。



ちなみに僕の昼飯はかつやでした。

かつやのカツ丼はうまいぞ。ご当地グルメはまた今度、予算が潤沢な時だ。


はい、というわけでなんやかんやあって到着しました。なお駐車場は無料です。ありがたい。

ちなみに外観はこれしか撮ってませんでした。アホがよ。

早速中へ入ってみましょう。

建物は3階建て。各フロア毎に違うコンセプトの展示あり。

入館すると早速数々のバイクや車の展示がお出迎えしてくれました。

また僕の抜かりで入口周辺の写真はありません。撮ったと思うんだけどなあ…(言い訳)。



入口横には現行隼が展示してありました。またがることもできます。

広いフロアの奥には4輪車と歴代GPレーサーの展示がありました。

このへんはあとでゆっくり見ることにして、まずは受付へ行きましょう。

左奥にはおみやげコーナーと新旧カタナの展示があり、その間にあるインフォメーションカウンターで入館手続きができます。

ここでオンライン予約で発行されたQRコードが必要になるので予約確認メールを開いて提示しましょう。

手続きが完了しましたので、まず2階から見ていきましょう。

2階はクルマづくりが追体験できるゾーン

さて2階です。

ここでは自動車のデザインから完成までの一連の流れを見ることができました。


会議でコンセプトから新モデルの草案を練り、ここでデザインを起こすんですね。

PCの正面に座ったほうがいいですよ。


伝家の宝刀WACOM INTUOS3ですよ。なんか懐かしさで泣けてきました。

デザイナーの皆様にはぜひ新しい機材を提供していただきたい。

デザインイメージ。めちゃめちゃかっこいい。


V-STROM1000はセンターアップの案もあったんですね。

この後はクレイモデル制作の様子の展示や、3Dシアターで製造工程が見られます。例によって写真はありません(開き直り)。

エンジンとフレームのカットモデルの展示。

引きの写真が無く車種は失念しましたが、セミカムギアトレインなので多分V-strom1000でしょうか。

バイクのカットモデルやストリップモデルってなんかずっと見ちゃいます。あっ引かないでください。

実寸大の製造ラインで組み立ての様子を展示してありました。工程ごとの説明が上のディスプレイに表示されています。


ロボットラボではロボットアームがドアパネルを持ち上げてぐりんぐりん振り回します。結構おもしろい。

最後には世界各国で展開するスズキの事業、浜松まつりといった文化や航空自衛隊の紹介(空自発祥は浜松)といった多岐に渡る展示が見られます。


道中にはコンセプトカーの展示も。

一番手前の車はクーペとステーションワゴンに変形できるPHEV車のWAKUスポ

その隣はあの激レアセダンキザシの試作車。もうほとんど覆面パトカーしか見かけません。


ウィンドウには開発に携わったスタッフの皆様のサインがびっしり!

範馬刃牙の家みたいになってます。I never give up and the revolutionなンだワ…。


一番奥にひっそりと並んでいるのはいつかのモーターショーで見かけたリカージョンです。

並列2気筒588ccインタークーラーターボエンジンから100馬力を発揮するバイクです。

いわゆるダウンサイジングターボなコンセプトなようで、扱いやすく実用的なエンジン特性だったとかどうとかと聞いたことがあります(ああふや)。

軽量スリムでハイパワーなこのバイクが発売されていたらと思うとコンセプトモデルで終わってしまったのが残念でなりませんが、いつかこの技術が違った形で活かされるかもしれませんね。

スズキのイカれたターボバイク…楽しみにしてます。

3階はスズキの歴史が凝縮された車両展示

さあ、ここからは3階――この博物館の目玉であるスズキの歴史紹介のフロアです。

普段はなかなかお目にかかれないクラシックなアイツや、往年の名車のソイツ、珍車のコイツが展示してあるのです。

ちなみに創業当初からの織機メインの写真は全然撮ってませんでした。すんません。


多すぎて全部は紹介できませんので、ところどころかいつまんでいってみましょう。

続きは君の目で確かめてくれ!

1940年代~60年代前半までの黎明期


スズキは大工から身を起こした鈴木道雄によって1909年に織機メーカーとして創業。金属製自動織機の製造をする中で機械加工のノウハウを蓄積し、やがてオートバイや自動車製造へと展開していったようです。

会社の成り立ちはトヨタなんかと似てますね。織機なんて普段見る機会がないのでちょっと新鮮です。

隣にあるのは1953年に登場したダイヤモンドフリー号です。

60cc2st単気筒エンジンから2馬力を発揮。第1回富士登山レースで優勝したり日本縦断テストを成功させてスズキの技術力を広めるきっかけになったとか。

この階はスズキの歴史と社会の変化に沿って車両展示がされていました。

ずらりと並べられたクラシックバイクは壮観です。

1952年発売、スズキのバイク事業の始まりとなったパワーフリー号。最初は自転車に取り付けるエンジンでした。

36cc2st単気筒エンジンで1馬力。2段変速を備えるなど他社よりちょっと進んでます。

燃料タンクはリアキャリア下、エンジンもクランク直上に位置して重心が低く見えます。扱いやすそう。

ホンダのA型やカブF型とレイアウトの違いなんかを比べてみるのも面白いですね。

ダイヤモンドフリーのアジア~ヨーロッパの巡走車の実車だそうです。フロントフォークとか増設されたキャリア、でかい燃料タンクからはヘビーデューティーな香りがします。

実際に使われたままなのであちこちに傷や錆があって、これがまたかっけーんすよ…。

この頃のメーカーはレース出場はもとよりバイクで世界一周したり富士登山したりと、やりすぎとも言える性能の実証に余念が無かったんですね。

なんというか良くも悪くもすごい時代ですね。メーカーの皆様には頭が下がります。

1954年登場、スズキ初の本格的完成車コレダCO

車名の由来は「バイクはコレだ!」とストレート。

なんというかスズキはたまにネーミングセンスがアレです。


90cc4stOHV単気筒で3馬力と3速ロータリーミッションの組み合わせ。プレスチャンネルフレームにテレスコピックフォーク。日本初のスピードメーターを装備したバイクだそうです。

1952年のパワーフリーからたった2年で進化しすぎです。

作りがすんごい丁寧。バリなんて全然なくて超綺麗。70年前にこんなん作ってたの信じられません。

初っ端からこの完成度はさすがのスズキです。

スズモペットSM1。このあたりから50ccも結構バイク的外見になってますね。

前後にサスペンションを備えてるので意外と乗り心地は良さそう?


このモペットってのが存外結構おもしろくて、クラッチ操作でエンジン←→ペダル駆動を切り替え可能なので、無意味に切り替えたりするのが楽しいのです。

余裕があればサブのサブのサブのサブ車くらいとして持っておいてもいいかもしれません(つまり所有する余裕はない)。

1959年登場、世界初125cc2st並列2気筒エンジンを搭載したコレダセルツインSB(失念したので多分。SB-2かも)。

一見ボトムリンク式フロントフォークですがテレスコピックフォークだそう。

おそらくスポーツモデルですがなぜかレッグシールドが装着されていました。タンクとサイドカバーへ続くラインからは実にスズキらしい独自性を感じますね。

コレダ125SK(1962年)はコレダセルツインと同様125cc2st並列2気筒ですが、よりスポーティーなデザインです。

パイプハンドルなのもいいっすね。

コレダ250TB(1960年)はコレダ250TAのスポーツタイプとして登場。今のバイクを見慣れた感覚を持っていても純粋にかっこいい。小さめなフェンダーや白/赤の外装が最高にスポーティー。

250cc2st並列2気筒エンジンに2キャブレターを装備して20馬力を出力。

リアは珍しい油圧式ドラムブレーキ、フロントは機械式ブレーキだそうです。

当時の貨幣価値のポップがありました。

他のものと比べて新聞高くない?と思ったけど1ヶ月分でした。安っ。給料もですが。

バイク展示の逆側にはスズキ初の市販4輪車スズライト(1955年)をはじめとした4輪車がズラリ。

ちなみにスズライトSS日本車初のFF(前エンジン前輪駆動)車らしいですよ。現代の自動車は大半がFFですが、その元祖がスズキとは知りませんでした。

こちらも撮り損ねだらけでほとんど写真がありません。ほんとすんません。

1960年代中盤~1970年代後半、高度経済成長期へ

このへんから高度経済成長期、バイクも車も劇的に進化していきます。

区切りごとに大パネルでスズキ歴史と当時の世の中の動きが説明されています。

歴史の勉強大好きになっちゃうね。

1965年、当時世界最速の250ccバイクT20です。ばりかっちぇ。車体の構成は今のバイクと大差ありませんね。

250cc2st並列2気筒で25馬力に加えて6速ミッション。GPレースで培った様々な新技術を注ぎ込んで完成したとか。

ちなみにこれが仮面ライダーのサイクロン号のベース車らしいです。

500cc版のT500(1968年)もありました。でけぇ…。これが後のGT750に繋がっていくと思うと感慨深いです。

こちらは47馬力。どちらも現代の水準でも充分なスペックですね。この2台でスズキ=高性能2stバイクのイメージが確立されたもよう。

しかしそれぞれわずか1年後に性能で上回るカワサキ・250A1サムライと500SS(マッハⅢ)をぶつけられてしまうのも最高にスズキ不運でしたね。

RM62がありました。イギリスはマン島で行われる歴史ある公道レースマン島TTの50ccクラスで優勝した実車だそう。

めちゃめちゃ低いクリップオンハンドルとロングタンクとカウルがめちゃめちゃレーシー。激スリムな車体は一切の無駄がなくてすばらしい。2st50cc単気筒で9馬力はさすがレーサーっすね。

ここから50ccレーサーはさらなる高出力化&多気筒化と過激な進化をしていくんですが、残念ながらここには展示がないようです(見落としとかじゃなければ)。

RP68という色々おかしいバイクがあるので興味のある方はぜひググってみてください。

誰しもが(多分)お世話になったであろう働く車キャリイのご先祖、2代目スズライトキャリイです。

フロントサスペンションはなんとダブルウィッシュボーンという、お前はスポーツカーかと言いたくなる構成でした。

2代目フロンテがありました。かわいい。

このモデルからRR(後エンジン・後輪駆動)となりました。

当時の家を模したセットに合わせて展示されています。

駐車位置が玄関に近すぎじゃないすかね。乗り込む時間を1秒でも短縮したいってことなんでしょうか。

田中家の人はかなりの車好きなのでしょう。

フロンテのスポーツモデル360SSです。イタリアで走行テストをした実車だそう。カラーリングがかっこいい。イタリアン(漠然)。

普通車のフロンテ800も。デザインは他のフロンテシリーズと似つかないけど、これはこれでかっこいいですね。

駆動方式はFF。4輪独立式サスペンションだったりと力入れてたけど他メーカーのラインナップに押されてあんまり人気はしなかったみたいです。

スズライトバンFE(1966)。この限られた軽自動車のサイズでボンネットバンを出す思い切り。

なにこれ?アウトビアンキ・A112アバルト?(無知)


どうやらフロンテハッチ(LS20orLS30)という商用バンらしいです。通常のフロンテが3気筒なのに対してこちらは2気筒だそうです。

この頃の丸みを帯びたデザインはなかなか個性的で良いですね。あまり小ささを感じさせないというかなんというか。

こちらは4代目フロンテ。丸くてかわいい。乗降性など使い勝手を考慮してなんとか4ドアにしてるのはすごいです。

3代目フロンテから派生したフロンテクーペ

そうそう、僕の中でフロンテのイメージってこれなんです。あのDMC-12(デロリアン)で有名なジウジアーロがデザインした未来的デザインがかっこいいんです。

世の中にはこのフロンテ(に限らず他の2st車にも)にチャンバーを装着している方がちらほらいます。

そのエンジンルームが非常にレーシーでかっこいいので興味がある方はぜひググっていただきたいです(いるんでしょうか)。

並びには珍しい車の展示もありました。

4代目キャリイ(フロンテクーペと同じくジウジアーロデザイン)を1970年の大阪万博施設内パトロール用に電気自動車化したという謎車両。

ジウジアーロが独立して最初に手掛けたのがこの4代目キャリイだそうで、

このどっちが前やねんと思われそうなデザインがgoodです。

1ミリも知らない車が来ました。

初代セルボをベースにスズキが武蔵工業大学の教授と1979年に共同開発した水素エンジン自動車だそうです。車名は武蔵3号

ロングノーズ・ショートデッキなデザイン。好みです。

スズキオフロードバイクの祖ハスラーです。画面手前は90。

バンバン125GT380。奥にはジムニーも見えます。

他にも僕の好きなめちゃかっこよバイクであるウルフ90/125とか、今でも愛される名車ジムニーなどの展示もあったと思うのですが、興奮してキャッキャ騒いでたら撮り逃してました。

ご来館の際はぜひご自身の目でどうのこうの(2回目)。

400cc初のDOHCエンジンを搭載したGS400。テールカウルなんかのデザインもちょっと先進的。

GT750、通称ウォーターバッファロー。750cc2st並列3気筒エンジンを搭載したバイクです。

でかくて重くてトルクフル。スズキ2stの集大成の一つです。

3気筒なのになぜかマフラーの出口が4本ある。シンメトリーなデザインが車両の重厚感UPに寄与してて良いんじゃないでしょうか。

テールランプはGT380と同様通称キン◯マテール(検閲済み)です。名付け親誰なの…。

どうせあるだろうなと思ってたら案の定ありました。迷車RE-5

デザインはキャリイバンと同じくあのジウジアーロです。

バイクでは非常に珍しいロータリーエンジンを搭載しています。

当時は様々なメーカーで計画されていたようですが、結局市販化されたロータリーエンジン搭載のバイクはドイツのメーカーが出した物とこのRE-5しかありません。

ちなみに完成度はRE-5の方が遥かに高かったようです。

しかしロータリーエンジンの耐久性の問題や極悪な燃費、国内販売無しといった流通上の不遇、加えて当時高出力な4気筒エンジン搭載バイクの流行が始まっていたため、例によってこれも全然流行らず1年で生産終了したようです。

スズキさん…。

通称茶筒と呼ばれるメーター。キーオンでパカッと開きます。なお閉めるのは手動です。

バンクルをはじめとしたスズキの謎の自転車群

灯火類完備の個性的なヤツもいました。

トップチューブからシフトレバーが生えてます。

いわゆるスーパーカー自転車というやつでしょうか。当時の流行が伺えます。

1970年代後半~1980年代中盤。バイクブームの産物とエコ車

オイルショックを経て世間ではコストパフォーマンスの良くて経済的な車が登場し始めた頃。

一方の二輪車はバイクブームもあって加速度的に進化している頃です。

エポユーディーミニといったレジャーバイクとスクーター群。

エポは今でもほしいです。車のトランクに入れたい。

超軽量スポーツスクーターHi-Rもありました。

スズキを代表する軽自動車初代アルトは大々的に展示されていました。

後ろの画面でアルト開発エピソード的なアニメが放映されています。

現・鈴木修相談役が当時社長就任してから初めて陣頭指揮を執ったエコノミーカーで、一発目から鈴木修感が色濃く出てる一台に感じます。

当時のテレビや他社製自動車の価格が掲示してありました。意外とPCが安い。

アルトは大体カローラの半額ビデオデッキ2台より安い。こうして比較してみるとアルトの徹底した合理的設計が際立ちますね。

一方の2輪車はというと、空前のバイクブーム到来によってバイクがどんどん進化していきます。

レースも人気を博していたため、レーシングマシンの技術をフィードバックしたスポーツバイクも急増しました。

上の画像はモトクロッサーの技術から生まれたハイスペックマシンRH250。隣のGR650は回転数によってクランクウェイトを切り離して吹け上がりを変化させる可変マス機構という独自技術を採用。

この頃から以前にも増して意欲的な作りのバイクが増えてきます。同時に少し様子がおかしいバイクもちらほら現れてきます。

だんだん2気筒から4気筒へ、空冷から水冷へと高性能化が進みます。

このあたりから公道で見たことがある車両も出てきます。

名車GSX400FSインパルスがありました。かっこいい。CBX400FやXJ400、Z400FXと並べたい。

隣には超意欲作のターボエンジン搭載車XN85が。

この頃は各社からターボバイクが発売されていました。当時はフューエルインジェクションの制御だったりターボのレスポンスだったりと技術的に厳しかったのか定着はしませんでしたが、今となってはカワサキ・NinjaH2系が過給器(こちらはスーパーチャージャー)を搭載しています。

スズキもコンセプトモデルのリカージョンを活かしてXN85の後継者を作ってもらえませんか。無理ですか。

ある意味でスズキを代表する超名車GSX1100S KATANA。展示車は足回りを見るに2000年発売のファイナルエディションでしょうか。

ドイツ人デザイナーハンス・ムート属するターゲットデザインによる先進的な造形は今見ても色褪せません。ほしい。

ちなみに漫画キリンを読むとカタナが欲しくなります。みなさんもぜひ。

250ccレーサーレプリカの祖RG250Γ(ガンマ)。ヤマハ・RZ250が元祖という声も聞こえますので異論は多少認めます。

手作り角断面アルミフレーム、リア18インチ、フロント16インチの鋭いハンドリング、45馬力(後に250cc馬力上限の自主規制値に)を出力する2st並列2気筒エンジン、フルカウル、アンチノーズダイブフォーク(ANDF)とこれでもかとレーサーの技術を詰め込んだバイクです。ほしい。

こいつが発端でレーサーレプリカがどんどん過激に進化していきました。

多分3型。レーシーなウォルターウルフカラー。

初代GSX-R。最初は排気量を表す400が車名に入りません。

59馬力(後に400cc馬力上限の自主規制値に)&152kgというハイスペック。軽すぎ。ほしい。

RG400Γ2stスクエア4気筒というレーサーそのままのエンジン型式。4本飛び出したマフラーがかっこいい。ほしい。

RG500Γってのも存在します。

GSX-R750。当時車重200kgオーバーが当たり前の750cc帯で、軽量コンパクトな独自の油冷エンジン等を採用し軽量化、179kgという異常な軽さで大型レーサーレプリカの祖となったバイクです。

リッターオーバースーパースポーツの走りとなったGSX-R1100も。

スズキは新ジャンル開拓しがち。

出たわね。


スズキの中でも屈指の迷車と呼ばれるGSX400Xインパルスがありました。あると思ってました。

エンジンの部分ごとに水冷・空冷・油冷の3種類の冷却方式を使い分けたエンジンは59馬力&153kgと意外にハイスペック。

まあそれはいいとして問題はこの強烈なデザインです。あの名車カタナのデザインと同じハンス・ムートでしたが、コレジャナイ感が半端ないです。なんというかカッコ悪…いやかなり個性的

例によって売れませんでした。

カタナがすごく良くてまたデザインを依頼したらこれが出てきた時、スズキの方々はどう思ったのでしょう。


左にあるのはTS50(ハスラー50)。本格原付オフロードバイク。絶対楽しい。ほしい。

GSX-Rのような本格的フルカウルに反して中身はビジネスバイク系の4stエンジンという原付。その名もギャグです。

ギャグて

ちいさくてかわいい。ほしい。

スズキはこれを冗談で発売したらカスタムパーツが沢山出ました。モンキーやゴリラのようないわゆる4ミニとして受け入れられ、サーキットで走らせる人も意外と多く流行ったみたいです。

その後ヤマハ(YSR50)とホンダ(NSR50)に本気で返される。この瞬間が、スズキだね。

DR600R DAKAR。ライトガードがヘビーデューティーみを演出してます。

偽ゴールドウィングスズキのグランドツアラーGV1400LXEカバルケードを見つけました。もちろんレア車なので実車を見るのはこれが初めてです。

リアサスペンションはオートレベリング、リアシートは高さとバックレストの角度調節ができるようです。ほぼ車です。


ヤマハ・ベンチャーロイヤル、カワサキ・ボイジャーと共に忘れ去られました。その後それぞれVMAXとゼファー1100のエンジンとして生まれ変わりましたが、コイツだけはまだバイク乗りの記憶の片隅で眠り続けています。

みなさんもたまには思い出してあげてくださいね。

四輪部門も見ていきましょう。

カルタスはフロンテ800以来14年ぶりの普通車として登場しました。海外だとコイツ、スイフトとして売ってたらしいです。

急に走りの因子を感じるようになりました。


右隣は2代目アルト、左にちらっと見えるのは見た目9割のピックアップトラック、マー坊ことマイティボーイです。


やっぱり80年代は気になるバイクが多くて目移りしますね。買えないけど。

1980年代後半~現代のスズキへ

ここからかなり見慣れた車種が増えました。

手前は初代アルトワークス。550ccの軽自動車ながら64馬力(後に軽自動車の馬力上限の自主規制値に)を発揮します。

また馬力の規制作ってる…。


右奥には大ヒットした世界戦略車スイフトも見えます。

これスズキは初代って言ってるけど実際は2代目で、海外でイグニスって呼ばれてるのが初代。スズキはこれを無かったことに【-この文章は検閲されました-

軽オープン2シータースポーツカーのカプチーノ。まだまだ街中で見かけます。

いいっすねー。ロングノーズショートデッキの伸びやかなデザインを軽自動車に取り入れて綺麗にまとまってます。ほしい。

2シータークーペスタイルのクロスオーバーSUVというなんだかよくわからんコンセプトで登場したX-90

本格的クロカン車に使われるラダーフレームを採用してるから余計に何を目的にした車なのかわかりません。

90年代になるとこんな尖った車種が増え、ヤバ気なスズキ車を見た時の「いやこれちょっと変なんじゃないの…?」という疑問が確信に変わるという機会も増えてきます。

怪鳥ことスズキのビッグオフローダーDR800Sが隅っこにいました。クチバシがかっこいいですね。

ラリーレースの高速化に合わせて他所のメーカーが2気筒化する中、スズキはまさかの油冷バカデカ単気筒エンジンを採用するという暴挙に。

しかし2軸バランサーの採用により腱鞘炎になるほどのワイルドな振動と気難しい乗り味を想像していると、実際は肩透かしを食らうほどにスムーズだそうです。ほしい。

可変バルブタイミング機構を備えたバンディット400VとDRに挟まれるようにして、クラシカル迷車のSW-1がひっそりと佇んでいます。

フロント16・リア15インチというどこに売ってんだよってサイズのタイヤを除けば、コンセプトモデルほぼそのままの(良い意味で)なかなか個性的なデザイン、あちこちにある小物入れの利便性など見どころのあるバイクだと思います。

高めの価格設定だったりバブル崩壊だったりとタイミングが悪かったようですね。

レーサーの展示もありました。1988年にケビン・シュワンツが乗りスズキに優勝をもたらしたGPマシン、RGV500Γです。極太ツインスパーになって近代的な見た目に。

ペプシカラーかっこいい(小並感)。ブレーキキャリパーがニッシンですけど、ニッシンってホンダ系企業です。

当時からレースでもバチバチにやりあうライバル関係でしたが普通に提供してくれるんですね。まあそれはそれ、レースはレースで正々堂々ってことなんでしょう、多分。

カウルにはサイン入り。

バギーLT50JLT250R。250の方はRM250のエンジンを積んでるとかなんとか。

こんなの絶対楽しいよ。

奥にいる青いスクーターはなんだったか失念しました。街中でも見たことありません。インドのスズキあたりからの輸入車かも。

珍しいスズキ車の白バイGSF1200Pです。僕はVFR800PとかCB1300Pしか見たことありません。
きっと交通量が多くてパトロールに必要な絶対数が多い東京とか大阪とか、お膝元である静岡とかで走ってたんでしょう。全部想像ですが。

オートレース用の競争車がありました。エンジンはスズキのセア(AR600)。現在のオートレースはスズキのAR600、AR500のみの使用に限定されているようです。

ギアは発進用のローとそれ以外を受け持つトップギアの2段、ブレーキ無しで150km/hというありとあらゆるムダを削ぎ落とした設計…うーん、好きですね。

オートレースは近場でやってないので気軽に見に行けませんがいつか行ってみたいものです。


エンジンカットモデル。

セアいいよね…

いい…

コンセプトモデルもちらほら見かけました。こちらは2007年東京モーターショーに参考出展された燃料電池&リチウム二次電池で走行するクロスケージ

コンセプトモデルは思い切ったデザインにしてくるから見てて新鮮。

残念ながらファルコラスティコヌーダは展示されておらず。一体どこにあるんだ。


こちらは船外機のカットモデル。


他にも軽トールワゴンのブームを生んだ初代ワゴンR、デジカメ程の値段で買えた国産原付チョイノリ、4輪版チョイノリとも呼べるコミューターであるツイン、初代アルティメットスポーツGSX1300RHAYABUSAなど、数多くの名車(たまに迷車)が展示してありました。

(例によって写真は)ないです。

気になる方は自分の目でどうのこうの!(3回目)


だってそのへんも街中でよく見かけますしね。逆にいえば至る所で見かけるほど社会に受け入れられた名車だったってことなのでしょう(良いこと言ってる風)。

このあたりのスズキ車は刺さる人には深く刺さるような、あらゆる意味で尖っている強烈なモデルが多く思います。スズキファンの中にはこの頃のバイクや車にやられた人も少なくないのではないでしょうか。

最後は1階。レーシングマシンと限定商品だらけの土産コーナー

やっと受付のある1階へ戻ってきました。

この階では普段見ることができないレーサーを間近で拝むことができます。

ただのスイフトやワゴンRではない!スズキらしさ全開の車たち

4輪のレーシングマシンがありました。

こちらは普通のZC31SベースのJWRC用ラリーマシン、スイフト・スーパー1600だそうです。

馬力はノーマルの125馬力から218馬力へ大幅パワーアップ。やっぱZC31Sかっこいいすね。


お隣はバイオメタンガス(CBG)車のワゴンR。インド向け仕様をベースに作られたようで、なんと牛フンを元に生成したバイオガスで走行するそうです。スズキの謎技術力よ…。


GS1000RからGSX-RRまで歴代レーシングマシンがずらり

ヨシムラ・スズキの耐久レースの出場マシンたち。市販車をベースに徹底的なモディファイが施されています。

皆様にはヨシムラとスズキと耐久レースの関係を知るために、プロジェクトX第141回のヨシムラの放送回をぜひ観ていただきたい。僕はそれ観てびしょびしょに泣きました。

手前2台は09年優勝車のGSX-R1000(K9)、07年鈴鹿8耐優勝車のGSX-R1000(K7)

HB(ハーベー)カラーが鮮やかなGS1000R(XR41)はシルバーストーン6時間/ハラマ6時間/鈴鹿8耐を勝利した傑作機。ちなみにコイツが後のGSX-R750の規範になったとか。
こちらもヨシムラによるチューニング。


1980年に完成したヨシムラスズキGS1000R(XR69)は、本社製のレース用シャシーにヨシムラチューニングのエンジンを載せて2度目の鈴鹿8耐優勝を果たしました。

ベースエンジンから約50馬力アップとかいう伸び幅がおかしいチューニングが施されてて笑ってしまいました。

カウル形状が非常に好み。薄っぺらいタンクも後のダブルクレードルフレームのGSX-Rみたいでかっこいいです。

バンク角確保のためでしょうか、車体左側のクランクケースカバーが斜めに加工されています。

レーサーってこういう機能美がかっこいいんですよね。

こちらは91年のパリ・ダカールラリーに出走したDR-Z(ジータ)です。

ヘッドライトカバーがかっこいい。エキゾーストは左出し。


逆側はグランプリレーサーの展示が。

こちらは最初にΓと名付けられたRGΓ500(XR35)。1981年にランディ・マモラが乗った車両です。

1980年のRGB500(XR34)

これに乗ったのはザ・ドクターと呼ばれたGPの王者バレンティーノ・ロッシの父グラツィアーノ・ロッシだそうです。

1982年にフランコ・ウンチーニがワールドチャンピオンとなったRGΓ500(XR40)。Ghibliカラーが綺麗。

この頃のバイクはスズキに限らずですが、冷却のためという理由でフォークの前にブレーキキャリパーを配置してるものが多いです。

キャリパーのオイルラインから分岐したホースはフロントフォークへ。アンチノーズダイブのためでしょう。

今はこの機構、ダンパーの能力向上によって装備している車種はありません。進歩していく中で淘汰されてしまった当時最新の技術……なんというか哀愁みたいなものを感じます。

当時の技術者たちがマシンをより良くするために行った試行錯誤が見て取れるのがおもしろいですね。

1993年にケビン・シュワンツがチャンピオンを獲得したRGV-Γ500(XR79)です。この頃のカウルは丸過ぎず角張り過ぎずでかなり好みです。一番好きまである。

カウルに書かれたサインは達筆すぎて読めませんでした(英語力ゼロ)。

シュワンツといえば91年ドイツ・ホッケンハイムリンクでヤマハのウェイン・レイニーとの激しいデッドヒートが有名です。

正確にはこの車両で参戦する2年前のレースなので別の車体なのですがぜひ観ていただきたい。細けえこたあいいんだよ!!(ぜひ見てほしいもの多すぎるなあ)


ヤマハのレジェンドライダーでありハングオフスタイルの第一人者ケニー・ロバーツ

その息子ケニー・ロバーツJr.が2000年に親子2代500ccチャンピオンを獲得したマシンがこのRGV-Γ500(XRB0)です。

足回りとかを見るとブレーキキャリパーがラジアルマウントだったりして、なんだか現行車と比べても遜色ないような構成に見えます(日々進化してるのでそんなわけないのですが)。

2st時代末期の集大成とも言える車両ですね。

こちらはMotoGPになり4stエンジンを搭載したマシンたちです。

手前はV型4気筒エンジンを搭載したGSV-R(アルバロ・バウティスタ選手車両)、奥が並列4気筒エンジンを搭載したGSX-RR(ジョアン・ミル選手車両)です。

GSV-RのRIZLAカラーの鮮やかな水色はサーキットで目立ちますね。

GSX-RRのテールカウルからサイドカウルに続くSUZUKIの文字は非常にレーシー。桜井ホンダみたい

スズキは2022年でMotoGPや世界耐久選手権のワークス参戦から撤退してしまい、GSX-R1000Rも生産終了していしまいました。

残念ですが、最近のスズキはサステナブル燃料で走るGSX-R1000Rで鈴鹿8耐に参戦したりとレース界に新たな方向からアプローチをかけてたりします。

いつかMotoGPに再参戦とか新型GSX-R1000発表とかやってくれたらいいなあ…と思うかしわぎでした。

効力抜群のカーボンブレーキ。使ってみたい。ダクトはキャリパー冷却用?


湯呑みやトミカなど、ここでしか買えない限定グッズ

歴史館を一通り堪能しましたが、まだ帰るのは早いです。帰宅する前におみやげを買って帰りましょう。

1階のインフォメーションカウンター横に行くとTシャツやイラストやトミカ、キーホルダーなどここでしか買えない限定グッズが購入できます。

しかしそのラインナップが実にスズキというか、ちょっと個性的でした。

ショーケースの中にあったのはメーカーの系譜手ぬぐい&クリアファイルという謎アイテム

メーカーの系譜て。

手ぬぐいならGSX-Rとか隼とかのロゴをプリントしたらいいじゃない。何そのチョイス。やっぱりスズキは一筋縄ではいきません。

そしておみやげコーナーの目玉はなんといってもこちら。

スズキ好きの方にはもはやお馴染みでしょう。

そう、湯呑みです。

以前は品番が振ってあり、スズキのパーツ取扱店で注文できました。僕も昔NAPSで手配してもらったことがあります。

しかし今はモーターショーなどのイベントやここスズキ歴史館でしか手に入りません。つまり買うならスズキ歴史館を訪れたその時がチャンスということです。

ラインナップとしては初代のオリジナル漢字がずらずらと書いてある初期モデルの復刻版『湯呑 壱』、各車のロゴがプリントされた『湯呑 ヘリテージ』など豊富なラインナップ。

うーん、買うしかありませんね。

まとめ: バイク好きなら一度は足を運ぶ価値あり!なミュージアム

スズキ歴史館…すごいところでした…。思っていたより濃くて貴重な時間を過ごせました。

他では滅多にお目にかかれない車両を間近で見ることができ、スズキファンはよりスズキの沼に嵌り、
ファンでなくともスズキの個性的なバイクに触れることで、一周する頃にはスズキが好きになっていることでしょう。というか好きになってくれ。


これだけのボリュームでほんとに無料というのが信じられませんね。


ぜひみなさんもスズキの歴史に触れて歴代の名車(迷車)を間近で見てスズキの世界にズブズブになったりならなかったりしてください!!!!!


おまけ

スズキ歴史館公式サイト内にブログというページがありました。

上で話題に出したサステナブルなレーシングマシンGSX-R1000Rの展示だとかお子様が参加できるエンジン組立体験の記事など、なるほど公式の広報らしい記事を読むことができます。

その中に「魔改造の夜」出場マシンを展示中!という記事が。

何の気無しに開いてみると、

大学や企業などの現場で活躍している一流の技術者が極限のアイデアと技術を競うNHKのエンタメ番組「魔改造の夜」。

「おもちゃ」や「家電」を“魔改造”したモンスターマシンで難題に挑戦するこの番組に、当社も「Sズキ」として挑戦しました。

 この激戦を戦ったモンスターマシンを、スズキ歴史館で展示しています!

この挑戦のために、社内で募ったメンバーは総勢70名。技術者だけでなく、様々な部門からのサポートメンバーを含めた2つのチームが知恵とアイデアと熱い情熱で戦いました。

 また、戦い抜いた戦士たちにスズキの鈴木俊宏社長から、ねぎらいの言葉と共に贈られた記念品も併せて展示。会社を挙げての挑戦となった、チームスズキの挑戦を間近でご覧ください!

スズキ歴史館-ブログ-「魔改造の夜」出場マシンを展示中!
かしわぎ
かしわぎ

ふんふん、なるほどね。ベースはミニ四駆とかかな?




【参戦モンスターについて】

「DEN-RACE solo」

“電動マッサージ器”を魔改造して25mコースを走らせ、タイムを競う挑戦。

「振動」を「動力」にして走らせるという超難題に挑んだマシンです。

スズキ歴史館-ブログ-「魔改造の夜」出場マシンを展示中!


そうはならんやろ。

記事中の開発者コメントからは苦労と熱意が伝わってきます。気になる方はぜひ公式ブログへどうぞ。


やっぱりスズキは最高だぜ!

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